家族が増え、そろそろ広い部屋に引っ越したい。あるいは、長年の目標だった家の購入に向けて、住宅ローンの相談を始めた。
書類をそろえながら、ふと手が止まります。「審査のときに、名前を検索されたらどうしよう」。
ネットには、昔の逮捕記事が残っている。家族の新しい生活が、自分の過去のせいで止まってしまうのではないか。そんな不安を抱えていないでしょうか。
家族の暮らしがかかっているからこそ、怖い
住まいは、毎日の生活の土台です。自分一人のことなら我慢できても、家族の住まいとなると話は違います。
「審査に落ちたら、家族にどう説明すればいいのか」。理由を話せないまま、ただ謝ることしかできないのではないか。そう考えると、申し込むこと自体をためらってしまいます。
家族の前では明るくふるまいながら、夜になると一人で名前を検索してしまう。そうした方は、決して少なくありません。
住まいの審査で悩む人は、あなただけではありません
引っ越しや住宅の購入は、多くの人にとって大きな節目です。そのため、ふだんは気にしていなかった過去の記事が、この時期に急に気になり始めることがあります。
「審査で何が見られるのか分からない」という不安は、情報が少ないからこそ大きくなりやすいものです。
一般の人は、住まいの審査をどう見ているのか
「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」のアンケートでは、入居審査やローンなど、人生の節目で過去が明らかになることについて、一般の方に意見を聞いています。
アパートの入居審査でも「トラブルを起こすのでは」と判断され、断られるケースもあるでしょう。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
多くの人が、住まいの審査で過去が不利に働く可能性を感じています。
ただ、これは「必ずそうなる」という話ではありません。何が見られる可能性があるのかを知っておくことで、落ち着いて準備を進めることができます。
ですが、採用側や貸し手からすれば、将来のリスクを回避するために事前に情報を把握し、自己防衛を図る権利があるという見方もあると思います。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
貸す側の立場に立った、率直な意見です。
貸す側が気にしているのは「将来のリスク」です。だとすれば、今の生活が安定していることや、ネット上に残る情報が過去のものであることを、きちんと把握しておくことに意味があります。社会が何を見ているのかを知ることが、次の一歩になります。
しかし反省し努力する人に対して社会が受け皿を用意することは長期的に見て安全につながります。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
これは、更生のチャンスを与えるべきかという質問への回答です。
住まいのような生活の土台を得ることは、社会にとっても大切だと考える人がいます。家族と暮らす場所を確保するための準備を、後ろめたく感じる必要はありません。
住まいの審査で、何が見られるのか
住宅ローンの審査では、収入や勤務先、ほかの借入の状況などが確認されます。お金の借り入れや返済の記録を扱う「信用情報」は、逮捕歴を登録するための仕組みではありません。
ただし、金融機関や不動産会社、保証会社によっては、申込者が反社会的勢力と関係がないかなどを確認するために、独自の調査を行うことがあります。その中で、新聞記事のデータベースやネット上の情報が参照される場合もあると考えられます。
何をどこまで調べるかは、会社によって異なり、外からは分かりません。だからこそ、「自分の名前で検索したときに何が表示されるか」という、自分で確認できる部分を把握しておくことが大切です。
よくあるケース
名前で検索すると、当時の記事がすぐに表示されるケース
担当者が名前を検索したときに、目に入る可能性がある状態です。記事がどのサイトにあり、どのくらい前のものかを確認します。
記事の中に、当時の住所や地域名が書かれているケース
記事の中に、当時住んでいた地域が書かれていることがあります。今の住まいや引っ越し先と結びつけられないか、心配になる方もいます。
家族の名前で検索したときに、関連する情報が出てくるケース
契約者が家族の名前になる場合でも、家族の名前で検索したときに関連する書き込みが出てこないか、気になる方もいます。
いずれのケースも、審査の結果にどう影響するかは、それぞれの会社の判断によるため一概には言えません。
よくあるご相談例
よく寄せられるご相談の流れを、一般化してご紹介します。
①相談前の不安
家族のために住宅の購入を考え始めたが、審査で名前を検索されたときに、昔の逮捕記事が見つかることが心配だった。
②ネット上に残っていた情報
報道機関の記事は残っていなかったが、名前で検索すると、当時の記事を転載した掲示板のページが表示された。記事には当時住んでいた地域名も書かれていた。
③確認・整理したこと
名前だけ、名前と地域名など、いくつかの組み合わせで検索し、表示されるページを一覧にした。それぞれの運営者と窓口を確認した。
④その後の気持ち
「何が見られる可能性があるのか」が分かったことで、申し込みに向けた準備を落ち着いて進められるようになった、という声がよく聞かれます。
何から始めればいいか
- 自分の名前で検索し、表示される記事や書き込みのURLを書き出します。
- 「名前+今の住所の地域」「名前+当時の地域」など、組み合わせを変えて検索します。
- 記事の中に、住所や家族についての情報が書かれていないかを確認します。
- 表示されたページの公開日と、事件からの経過年数をメモしておきます。
- 申し込みの時期を考え、確認や手続きに時間がかかる場合もあることを見込んでおきます。
- 何から進めるべきか判断に迷うときは、専門家に状況を伝えて整理してもらう、という選び方もあります。
家族の新しい暮らしの準備をしながら、自分の過去の記事を一つずつ確かめる。それは、明るい予定と重い気持ちが同時に押し寄せる、つらい作業です。
申し込みの時期がまだ決まっていない段階でも、どの記事が残っているのか分からない段階でも、相談はできます。相談することは、依頼を決めることではありません。
家族と新しい住まいで過ごす日を、落ち着いた気持ちで迎えるために。確認の作業を、誰かと一緒に進めるという選び方もあります。
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