家族が寝静まった夜、布団の中でスマホを手に取る。指が勝手に動いて、検索窓に自分の名前を入れてしまう。
昨日と同じ記事が、昨日と同じ場所に表示される。分かっているのに、確かめずにはいられない。
画面を閉じても眠れず、気づけばまた同じ検索をしている。そんな夜が、何日も続いていないでしょうか。
やめたいのに、やめられない
「見なければいい」と頭では分かっています。それでも、見ないでいるほうが怖い。誰かが今この瞬間に検索しているかもしれないと思うと、自分の目で確かめないと落ち着かないのです。
昼間は普通に働き、家族とも笑って話している。けれど夜になると、昔の記事が頭の中でどんどん大きくなっていく。
こうした気持ちは、弱さではありません。今の暮らしを守りたいからこそ、見張らずにはいられないのです。
同じ夜を過ごしている人がいます
ご相談の中でも、「毎晩のように検索してしまう」という声はとても多く聞かれます。
誰にも言えないまま、一人で画面を見つめている。その状態そのものが、もう十分につらいことなのです。
こんなに気にしているのは、自分だけ?
いいえ。同じ恐怖を感じたことがある人の声は、アンケートの中にもありました。
「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」で、ネットに記事が残り続けることを一般の方にたずねたところ、次のような回答がありました。
自分の名前で検索されることに強い恐怖を感じた時期があります。すでに法的な責任を終えていても、ネット上には逮捕という事実だけが切り取られて残り続けます。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
「強い恐怖を感じた時期があります」。この一文には、同じ夜を過ごした人の実感がこもっています。
そして「時期があります」と過去形で書かれていることにも、目を向けてみてください。その恐怖は、ずっと続くものとは限らないのです。
ただ、新しく生き直そうと思ってもネットに載っている場合、どこで知られてしまうかわからない不安と常に戦い生きるということは、相当身を削られるものだと思います。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
当事者ではない人の中にも、この「身を削られる」感覚を想像できる人がいます。あなたの不安は、社会の側から見ても理解されうるものです。
記事の削除や検索に出てきにくくするような取り組みは、場合によっては必要だと思います。誰でも、ずっと過去を背負い続けるのは、とてもしんどいはずだからです。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
「しんどいはず」と、そのまま受け止めてくれる人もいます。一人で見張り続けるのをやめて、誰かと一緒に状況を確かめることは、決して甘えではありません。
検索に出てくる記事が削除や非表示になるかどうかは、記事の載っている場所や年数、内容によって変わります。判断するのは各サイトや検索サービスですが、あなたの場合にどうなりそうかは、相談の中で一緒に確かめることができます。
検索するたびに、不安が大きくなる理由
何度も検索していると、同じ記事を何度も読むことになります。そのたびに当時の記憶がよみがえり、不安が上書きされていきます。
「自分が検索すると、検索の回数が増えて目立ってしまうのでは」と心配する方もいます。検索の仕組みは複雑で、一人の検索だけで結果が大きく変わるわけではありません。ただ、気になって眠れなくなるほど検索を続けることは、心にとって大きな負担です。
「どこまで広がっているのか」が分からないことも、不安を大きくします。元の記事、転載されたページ、検索結果と、情報はいくつもの場所に分かれて残っていることが多いからです。
全体像がつかめないまま一人で見張り続けても、安心にはなかなかたどり着けません。
夜の検索がやめられない方に多い状況
毎回同じ記事を確かめてしまう
記事が増えていないかを確かめるために、同じ検索をくり返している状態です。
ほかの人がどう見ているかを想像してしまう
職場の人、家族、知人。誰かが同じ画面を見ているところを想像し、眠れなくなる状態です。
新しい書き込みが増えていないか怖い
掲示板などに、新しく何かが書かれていないかが気になり続ける状態です。
どの状況でも、見張り続けることで記事が消えるわけではありません。だからこそ、見張る役目を一人で背負わなくていいのです。
夜の検索が止まらなかった方のご相談例
これまでご相談をお受けしてきた中で、よく伺う流れを一般化してご紹介します。
①相談前の不安
毎晩寝る前に名前を検索し、同じ記事を読み返してしまう。家族にも言えず、睡眠不足が続いていた。
②ネット上に残っていた情報
当時のニュース記事の転載と、掲示板の書き込みがいくつか残っていた。
③相談の中で一緒に整理したこと
どこに何が残っているのかをこちらで整理し、全体像と、考えられる対応の方向をお伝えした。
④その後の気持ち
「自分で見張らなくていい」と思えたことで、夜に検索する回数が減った、という声がよく聞かれます。
相談したら、どうなるのか
- どんな夜を過ごしているのか、話せるところから伺います。匿名で構いません。
- ネット上に残っている情報の全体像を、こちらで確認します。
- 状況に合った対応の考え方をお伝えします。
- 依頼するかどうかは、説明を聞いてからご自身で決めていただけます。
今夜も検索してしまいそうだと感じるなら、それが相談のタイミングです。
毎晩一人で記事を見張り続けるのは、心も体もすり減らします。眠れない夜が続けば、昼間の生活にも少しずつ影が差していきます。
何から話せばいいか分からなくても大丈夫です。相談することと、依頼することは別のことです。
今夜、スマホを置いて眠れるように。見張る役目を、ひとりで抱え続けなくていいのです。
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