子どもが中学生になり、自分のスマホを持つようになった。調べものをする姿を見るたびに、頼もしく感じる一方で、ふと不安がよぎります。
「いつか、自分の名前を検索する日が来るのではないか」。ネット上には、昔の逮捕記事が今も残っているからです。
子どもの友達や、その親が検索することもあるかもしれない。そう考えると、学校行事で名前を名乗るのも気が重くなる。そんな毎日を過ごしていないでしょうか。
子どもにだけは、知られたくない
自分のことは、自分で受け止める覚悟がある。でも、子どもがネットで突然知ってしまうことだけは避けたい。
「いつか自分の口から話すべきなのか」「話すなら、どの年齢で、どんな言葉で」。答えの出ない問いを、何度も頭の中でくり返している方もいます。
子どもに申し訳ないという気持ちと、子どもの今の生活を守りたいという気持ち。その両方を抱えているのは、親として自然なことです。
子どもへの影響で悩む親は、少なくありません
子どもが小さいうちは気にならなかった記事が、子どもの成長とともに急に気になり始める。これは、よく聞かれるご相談のきっかけです。
とくに、子どもが自分でネットを使いこなすようになる時期や、進学・就職を控えた時期に、不安が強くなる傾向があります。
一般の人は、家族への影響をどう見ているのか
「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」のアンケートでは、逮捕歴や前科のレッテルが家族に与える影響について、一般の方に意見を聞いています。
特に子どもは、親の過去とは関係なく純粋に生活しているのに、周囲の偏見によっていじめや疎外感を感じることもあるでしょう。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
この回答者は、子どもには責任がないという前提で、周囲の偏見を心配しています。
つまり、子どもを守りたいという親の思いは、社会の側から見ても理解されうるものです。子どものために情報を整理したいと考えることを、自分勝手だと責める必要はありません。
また、子供の結婚や自身のローン審査など、家族の人生の節目において過去の過ちが発覚すれば、身内の未来まで台無しにしてしまうという強い罪悪感に苛まれるでしょう。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
こちらは、人生の節目で過去が明らかになることについての回答です。
子どもの進学や就職、結婚は、これから先に訪れる節目です。だからこそ、今のうちにネット上の状況を把握しておくことには意味があります。
働く場所があって、周囲から受け入れられる事で、人は前向きに生きようとするものだと思います。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
これは、更生のチャンスを与えるべきかという質問への回答です。
受け入れられる環境があれば、人は前を向ける。そう考える人がいます。子どもと一緒に過ごす今の暮らしを守ることも、その環境づくりの一つです。
子どもが検索したとき、何が見えるのか
子どもが親の名前を検索するとき、多くの場合は名前だけ、あるいは名前と住んでいる地域を組み合わせて調べるでしょう。
そのとき表示されるのは、報道機関の記事だけではありません。転載されたまとめサイトや掲示板、個人のブログが表示されることもあります。
また、検索窓に名前を入力したときに表示される「検索候補」に、事件に関係する言葉が出てくることもあります。
親が思っている「見えている情報」と、実際に子どもが目にする情報は、必ずしも同じではありません。まずは、子どもと同じ目線で検索してみることが大切です。
よくあるケース
名前で検索すると、すぐに記事が出てくるケース
子どもや、子どもの友達が検索したときに、目に入る可能性が高い状態です。記事がどのサイトにあるかを確認することから始まります。
検索候補に、事件に関係する言葉が出てくるケース
記事を開かなくても、名前を入力しただけで事件を連想させる言葉が表示される状態です。記事そのものとは、別の窓口で考える必要があります。
記事は見当たらないが、掲示板に書き込みが残っているケース
報道記事は消えていても、掲示板に名前と事件の内容が書き込まれていることがあります。家族の情報まで書かれていないかも、確認しておきたい点です。
いずれのケースも、状況によって対応できる内容は異なります。「子どものため」という事情が、そのまま結果を決めるわけではありませんが、整理を始める十分な理由になります。
よくあるご相談例
よく寄せられるご相談の流れを、一般化してご紹介します。
①相談前の不安
子どもがスマホを持ち始め、自分の名前を検索されるのではないかと気になっていた。子どもの同級生の親に知られることも心配だった。
②ネット上に残っていた情報
名前で検索すると、当時の記事を転載したまとめサイトが表示された。検索候補にも、事件に関係する言葉が出ていた。
③確認・整理したこと
表示される記事と検索候補を分けて一覧にし、それぞれの窓口を確認した。家族の情報が書き込まれていないかも確認した。
④その後の気持ち
「いつ見られるか分からない」という漠然とした怖さが、「何がどこにあるか」という具体的な課題に変わり、子どもと向き合う気持ちの余裕が少し生まれた、という声がよく聞かれます。
何から始めればいいか
- 自分の名前で検索し、表示される記事や書き込みのURLを書き出します。
- 検索窓に名前を入力し、表示される検索候補も確認します。画面を保存しておくと、あとで説明しやすくなります。
- 「名前+住んでいる地域」「名前+子どもの学校がある地域」など、周りの人が試しそうな組み合わせでも検索します。
- 家族の名前や住所など、自分以外の情報が書かれていないかを確認します。
- それぞれのページがニュースサイト・転載サイト・掲示板のどれにあたるかを分け、窓口の有無を確認します。
- 何から手をつけるか判断に迷うときは、専門家に状況を伝えて、一緒に整理してもらう、という選び方もあります。
子どもに見られるかもしれない記事を、親である自分が一つずつ確かめる。それは、想像以上に心が重くなる作業です。
どの記事が残っているか分からない段階でも、子どもにどう話すかを決めていない段階でも、相談はできます。相談することと、依頼することは別です。
子どもが自分で検索できる年齢になる前に、せめて今の状況だけでも知っておきたい。その作業を、誰かと一緒に進めるという選び方もあります。
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