検索窓に自分の名前を入力した瞬間、その下に「逮捕」や、当時の事件名が候補として並ぶ。まだ検索ボタンを押してもいないのに、です。
「誰かが名前を入れただけで、これが見えてしまうのか」。そう気づいたとき、背中がひやりとした方もいるのではないでしょうか。
記事を開かなくても、名前と事件が結びついて見える。その状態が、毎日の小さな不安になっていないでしょうか。
名前を入れただけで、過去がついてくる
仕事の相手や新しい知人が、何気なく名前を検索することは珍しくありません。そのとき、事件名が候補に出てくるかもしれないと思うと、自己紹介をするのもためらわれます。
「記事なら、読まなければ分からないかもしれない。でも、検索候補は、入力しただけで目に入ってしまう」。この怖さは、とても具体的です。
新しい人間関係を始めたいのに、名前を名乗るたびに身構えてしまう。そんな気持ちを抱えている方は少なくありません。
検索候補に悩んでいる人も、たくさんいます
検索候補に事件に関係する言葉が表示されることは、実名報道をされた方にとって、よくある悩みの一つです。
記事そのものよりも、「名前と事件が並んで見える」ことのほうがつらい、という声もよく聞かれます。
一般の人は、名前で検索されることをどう見ているのか
「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」のアンケートでは、刑罰を終えた後もネットに情報が残り続けることについて、一般の方に意見を聞いています。
実名入りの記事が検索結果の上位に残る限り、新しい人間関係を築こうとしても、相手が名前を検索した瞬間に過去の過ちがバレてしまいますので、一生過去から逃げられないという絶望感を生みます。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
「相手が名前を検索した瞬間」。この言葉に、思わずうなずいた方もいるかもしれません。
こうした状況を「絶望感を生む」ととらえ、問題だと感じている人がいます。あなたが感じている不安は、社会の側からも理解されうるものです。
特に軽微な犯罪であっても、ネット上では誇張されて拡散されることが多く、事実以上に悪い印象を持たれてしまうこともあります。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
名前と事件名が並んで表示されると、それだけで、実際よりも重い印象を持たれてしまうことがあります。
だからこそ、検索したときに何が、どのように見えているのかを正確に知っておくことが大切です。
過去の清算として法的な手続きを踏むことは、逃避ではなく、前向きに生きるための手段だと考えられますから、知る権利が、個人の一生を破壊する権利になってしまってはいけないと思います。
(一般市民アンケートより/「犯罪歴と社会復帰研究 リアルな本音100事例」)
これは、専門家に依頼して記事の削除や検索結果の非表示化を行うことについての回答です。
正しい手順で情報を整理することを、「前向きに生きるための手段」ととらえる人もいます。整理を考えることは、逃げることではありません。
検索候補と検索結果は、別のもの
検索候補とは、検索窓に文字を入力したときに、下に表示される言葉の一覧のことです。多くの人が実際に検索した言葉などをもとに、自動で表示されています。
一方、検索結果は、検索ボタンを押したあとに表示されるページの一覧です。こちらは、ネット上にあるページの内容をもとに表示されています。
この二つは仕組みが異なるため、確認のしかたや、相談する窓口も別になります。たとえばGoogleでは、不適切な検索候補を報告する機能が用意されています。報告を受けてどう扱うかは、Google側の判断になります。
また、記事そのものが残っている限り、検索候補だけが変わっても、名前で検索すれば記事が表示されることがあります。候補と記事、両方の状況を見ておくことが大切です。
よくあるケース
名前を入力すると「逮捕」が候補に出るケース
記事を開く前に、名前と「逮捕」が結びついて見える状態です。どの言葉が、どの順番で出ているかを記録しておくことが出発点になります。
検索候補は出ないが、検索結果に事件の記事が並ぶケース
入力の段階では何も出なくても、検索すると記事が表示される状態です。記事がどのサイトにあるかを確認します。
名前と地名を組み合わせると、事件名が候補に出るケース
名前だけでは出なくても、地名や勤務先を加えると候補が表示されることがあります。どの組み合わせで出るかを把握しておくと、状況を説明しやすくなります。
いずれのケースも、表示を変えるかどうかは検索サービスやサイトの運営者が判断します。状況によって、できることは異なります。
よくあるご相談例
よく寄せられるご相談の流れを、一般化してご紹介します。
①相談前の不安
新しい職場で自己紹介をすることになり、名前を検索されたときに事件名が候補に出ることが気になっていた。
②ネット上に残っていた情報
名前を入力すると、検索候補に「逮捕」と事件に関係する言葉が表示された。検索結果には、転載サイトのページが残っていた。
③確認・整理したこと
検索候補と検索結果を分けて記録し、それぞれ窓口が異なることを確認した。記事がどのサイトに残っているかも一覧にした。
④その後の気持ち
「候補」と「記事」を分けて考えられるようになり、何から確認すればいいかが見えてきた、という声がよく聞かれます。
何から始めればいいか
- ブラウザのシークレットモードなどを使い、検索窓に自分の名前を入力して、表示される検索候補を確認します。
- 名前にスペースを入れた場合や、地名・勤務先を組み合わせた場合の候補も確認します。
- 表示された候補の画面を、日付がわかる形で保存しておきます。
- 名前で検索し、検索結果に表示される記事や書き込みのURLを書き出します。
- 検索候補と記事とを分けて一覧にし、それぞれの窓口を確認します。
- どちらから手をつけるべきか判断に迷うときは、専門家に状況を伝えて整理してもらう、という選び方もあります。
自分の名前を何度も入力して、どんな言葉が並ぶかを確かめる。それは、見たくないものを自分から見にいく作業です。確認するたびに疲れてしまうのは、当然のことです。
記録の取り方が分からない段階でも、候補と記事のどちらが問題なのか整理できていない段階でも、相談はできます。相談することと、依頼を決めることは別のことです。
新しい職場や人間関係で、安心して名前を名乗れるように。確認の作業を、一人で抱え込まずに進めるという選び方もあります。
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